ソウルのおいしい焼肉は お母さんとお父さん優しさ で味付けされてました
韓国と言えば、焼肉
焼肉と言えば、韓国
と言われているかは、定かではありませんが
正直、日本で食べた方が美味しいのでは?
と、失礼な思いを密かに抱いていたことを ここに告白
そんな印象を一気に崩した、ローカル度100%の焼肉屋さん
観光客が集まる地域から、少々離れたエリアにございます
ソウルは永登浦駅。日本人旅行者にはまったく馴染みがなかろうその駅近くに、
ウワサの焼肉屋さん、삼화갈비 (サンワカルビ) が あります。
このお店を知ったきっかけは、韓国人の友人を通して。
急な訪ソウルにも関わらず付き合ってくれ、
「美味しい焼肉が食べたい」という、ざっくりなお願いに、全力で答えてくれた友人。
どうやら、食べログ韓国バージョンのようなサイトで、大変評判とのこと。
期待を胸に、お店に向かいます。
このマイナーなお店への 分かりやすい行き方としては、
永登浦駅近くにある、新世界百貨店のメインの入口を出て、向かいに消防署を見かけたら、
その道路を渡り、右へ。一本目の道路を左に入り、まっすぐ。
2~30m先にお店が左手に見えてきます。
詳しい地図は、DinnigCode というサイトをどうぞ
お昼でも、夕飯時でもない、午後3時頃訪問。
微妙な時間でしたが、1組の家族と思われる韓国人のお客さんが盛大に肉を焼いており、一安心。
中途半端な時間帯にも関わらず、朗らかな笑顔と共に、席まで案内してくれる店員さん。
日本人の観光メッカな明洞周辺にはない、温かい雰囲気で、すでに好印象。
ローカル度100%のため、メニューの表記は韓国語のみ。
そのため、注文は友人におまかせ。
メニューの種類がそれほど多くないところに、
「こだわりがあるのでは?」といらぬ期待を寄せます。
韓国の食堂の特徴といえば、例え1品しか頼んでいなくとも、
テーブルいっぱいに広げられる、お代わり自由な パンチャン (반찬=おかず)。
この삼화갈비 でも、もちろん席に着くと同時に、
数々のパンチャンが運ばれ、一気に韓国度が上がります。
そうこうしているうちに、お肉が登場!
いつもはお客さん自ら 肉を焼いたり切ったりするようですが、
明らかに不慣れな日本人が含まれているためか、
優しいお母さんが、色々と面倒をみてくれました。
はやる気持ちを抑えつつ、焼いたお肉をサンチェに包もうとすると、
「タレに付けてからが、いいよ」と、焼肉奉行のお母さん。
味の想像がまったくつかないそのタレに肉を浸し、せっかくなのでそのままいただくと、
あらま、ビックリ!お手製という、タレが絶品!
韓国焼肉 ≦ 日本焼肉 の方程式が、見事に崩れ落ちた瞬間。
韓国人の友人も、「ここの焼肉は、本当に美味しいと思う!」と大絶賛。
甘酸っぱいそのタレが、肉の脂の味を包み込み、さわやかな風味に。
コチュジャンや味噌を付けるのとは、また、一味もふた味も違う、新鮮な美味しさ。
と言うことで、あまりにも気に入ったので、すぐに再訪。
今回も微妙な時間に訪れましたが、先客に若い韓国人カップルが一組
仲良くお肉をつついており、店員さんは、夕飯前のひとときをまったりと過ごしておりました。
相変わらずメニュー表記は韓国語のみですが、
食い意地が張ると、自分の言語能力が飛躍し、韓国語も読めるようになるもの。
前回、美味しかったテジカルビを見つけ、サクッと注文。
が、それ以外がサッパリだったので、店員さんのオススメ肉を注文。
このお店の方々の人柄に全面的な信頼を寄せているので、
ボッタクられる等の心配もなく、安心してお肉を待ちます。
今回も、変わらない美味しさ。
お肉やおかずを持ってきてくれたお母さんに、「マシッソヨ(美味しいです)」と告げると、
ニコニコとうなずき、「もっと食べなさい」的なジェスチャー。
ある程度食べ進めたあと、お肉のお供、ご飯を頼んでいないことに気がつくも、
ご飯の韓国語がわからず、茶碗にご飯が盛られた日本昔話風な “絵”で表現。
「あ〜、パッ(밥)ね、パッ!」と、言葉を越えて通じあえ、ほっこり。
そんな様子を遠巻きに見ていた、店主と思われるお父さん。
おもむろに冷蔵庫を開け、コーラを一本取り、コップを2個抱え、こちらに向かってきました。
「サービス、サービス」とそれらをぶっきらぼうに、テーブルにドン。
そして、「それを持って、ポーズしろ、写真を撮ってやろう」とジェスチャー。
韓国語が書かれたコーラの瓶を抱え、満面の笑みで写る一枚が良い旅の思い出に。
帰り際、数少ない知っている韓国語、「マシッソヨ、カムサハムニダ」を連呼し、
お父さんに挨拶。照れくさそうな、はにかんだ笑顔で見送ってくれました。
駅近で、昼間も営業、おいしい焼肉と、お手製パンチャンを、お手頃価格で食べられる、
という旅行者が訪れるレストランとしては、この上ない好条件。
ですが、それ以上に、「ソウルに来たら、このお店に 絶対にまた来よう!」と
芽生えがちな他の焼肉店への浮気心を 根こそぎもぎ取られ
再訪を誓う理由が、店員さんの優しさ。
美味しいものを食べてもらいたい、という思いが伝わり、
観光地化されてしまったエリアにない、温かさがそこにはあります。
韓国と日本の微妙な関係が、純粋な交流にも影を落とす状態になって久しいですが、
ソウルの中心地を離れれば、未だにこのような出会いや お店があるのも事実。
瞬間的、一方的な体験で その国の印象を決めてしまうのは、やはりもったいない。
先入観を捨て、まっさらな気持ちで、改めて旅をスタートしよう!
そんな 旅への心構えをも変える、おいしい焼肉でした。